2. 日本の移民
「藁葺き屋根の家の庭先であの花が咲いていても、だあれもあの花がメキシコの花だなんて思わないに。秋桜はもう、大切な、大切な日本の花だで」
そうしてアレーナの手を取って自分の両手に包み込んで優しく言った。
「お前も、秋桜になるんだよ」
さだまさし・『秋桜』
さだまさしさんの著書、「秋桜」に描かれるように、日本は移民に対して排他的な感情が大きい国です。特に地方都市では顕著といえるでしょう。2013年の日本の移民人口はおよそ1.92%。アメリカ・ヨーロッパの先進諸国と比較してもかなり少ない割合となります。当グループでは、日本の抱える「人口減少」「少子高齢化」問題に対し、この移民についてフォーカスし、日本の進むべきみらいを考えていきます。
さて、単純に移民の受け入れを増やせば、問題は解決に向かうのでしょうか。それを考えるには、移民政策を行ってきたヨーロッパの先進国、中でも日本と同じような技術国であり、低い合計特殊出生率の、ドイツを例に見てみましょう。
欧州連合(EU)で2000年に策定されたリスボン戦略など、ヨーロッパは移民政策を進めてきました。ドイツも、人口増加による社会経済の発展を目指し、多くの移民を受け入れました。しかし安価な労働力としての移民を受け入れたことが問題も生み出し、教育制度を誇ったドイツの教育水準の低下、反社会勢力の増加、失業率の上昇など、様々な問題を引き起こすこととなりました。3
近年、ヨーロッパ中で再燃している移民問題ですが、果たして日本の社会経済の発展のため、安易に働き手としての移民を受け入れることが、日本の目指すべきみらいなのでしょうか。
3. The Background and Current State of German Immigration Policies. T.Kamano J Int studies 23:43~57,2010